私にとってレースとしては約20年ぶり2回目の出場となるツールドおきなわ(前回出場は現在のUCIに当たる国際200kmの方でした)です。
近年はこの市民210kmクラスがホビーレーサーにとって一番の目標大会の一つになっているそうです。地元の方々の歓迎ぶりはすごいもので、この大会自体が土日開催でレースとセンチュリーライドがあり出場クラスも参加人数も多いので、確かにこのイベントが近年大いに盛り上がっており、人気の大会になっているのを肌で感じました。
このレースの2週間前に普段戦っているJ-PROの最終戦・全日本実業団ロード群馬CSCにて実業団レースシーズンは終了しました。(こちらは無事完走)
今回、ジャージも出来上がり販売も始まりましたメーカーSPECIALIZEDジャパンとしてスタートしたチーム「TEAM TARMAC」の一員としてこのレースに臨みました。
今回の出場選手はフォルツァ新井選手・シルベスト箕面店 藤岡選手・SHIDO安藤選手の各リテーラーの店長、各店舗のお客様2名(1名が210km出場)。それに私,藤田と佐藤です。
私としてはまず皆が無事に走り切れればということと、各リテーラー店長がエースとなり彼らがいい走りをして上位に食い込んでくれれば良いかな~、、、と。
なので、「TEAM TARMAC」の一員として何かができればと密かに思いレースに挑んだ今回です。
実は数日前からJ-PROのチームメイト達がファーストアタックをする!と言っていたので、流れによってはそれに乗っかろうと思っていました(笑)
(↑スタートして2km地点辺りのリアルスタート直後)
11/12(日)の早朝。Start/Goalとなる沖縄県名護市の明け方には辛うじて雨は上がり、スタートの頃には路面も乾きました。 曇り空とはいえ、この時期の沖縄としては幾分涼しい天候です。 まだ、サングラスを掛けるほど明るくない朝日が昇り始めた7時半に市民クラス最高峰の「ツールドおきなわ市民210km」約370名がスタートしました。
先導審判車が付き、いわゆるパレード区間の1.6kmまでに一気に集団の前の方までポジションアップしました。 リアルスタートの旗が振られたと同時にアタックが掛かり、脚力のある選手や仲間がそれに同調したので私もそれに反応しました。
9名の強力な逃げグループができました。
スタートから50km以上ある序盤の本部半島は若干アップダウンがあるほぼフラットなのですが、集団とのタイム差をある程度広げるために最初の約10kmの平坦路では45~50km/hでローテーションを廻していたので、早起きでほぼノーアップの状態では正直しんどかったです。
でも、やっぱり先頭集団で走れば目立つしカメラにも写りますよね(笑)
併走するmotoに頻繁に集団とのタイム差を教えてもらいつつ、この逃げ集団は協力しながらできる限り走り続けます。(一人まったくローテーションに加わらない選手がいましたがこれは逃げグループでのライバルチームであっても協力をするというロードレースの暗黙ルールのルール違反です)
2分、3分と集団とのタイム差は広がっていきました。 逃げている間、私は後ろの集団にいる「TEAM TARMAC」のチームメイトが脚力を温存してくれ後半戦の勝負どころで良い走りをしてくれ、「私は最低限完走できれば。。」とある種捨て身でできる限りこの逃げを続けられるように迷わず全力で前を引いていました。
だから今回の沖縄のレースは逃げに乗ってから「苦しく楽しく走る!」と決めて踏み続けていました。
平均速度は40km/hほどで突き進み、76km地点から始まる峠、「与那の上り」の入口までは集団とのタイム差をキープしたまま上りに突入できました。
峠に入るまでに2人が脱落していました。ここまでですでに私も脚にはキテますが、まだまだ行けそうです。この逃げのグループは普段のチームメイトと、普段一緒にレースを転戦するJ-PROの仲間やE1カテゴリーの選手達なので、足並みが揃っているしみんな走り方を心得ているので一緒に逃げていて走りやすかったです。
上りではペースを抑えて平地と下りでできるだけ速く走り集団とのタイム差をキープします。
与那からまたすぐに上り返した頂上付近に普久川ダムの補給地点(フィードゾーン)があります。これを85km地点・130km地点と、2回通過します。 長距離のロードレースでは走行中のドリンクや補給食を取ることが非常に重要で、選手は補給スタッフからボトルやサコッシュを走りながら受け取ります。
今回、TEAM TARMACでは渡辺・榎本のベテラン2人が補給要員としてしっかり私たちの補給を行ってくれて、とても助かりました。それがなければ選手にとっては致命傷になることもあり、非常に重要なことだからです。
補給地点にまさか先頭でTEAM TARMACジャージが来るとは予想していなかったようで、2人ともビックリしていました(笑) でも、無事私は2人から2本ボトルを受け取ることができました。 補給食のジェルも取りながら消耗している身体に栄養とエネルギーを与えながら。
80km/h近く出た峠の下りではとくに落車しないように、なおかつできるだけ速くそして逃げる仲間にお互い気を遣いながら協力して走ります。
みんな脚は徐々に削られていきますので。
与那を下り切り、沖縄本島最北端付近にあるもう一つの注意点である「奥の上り」もしんどいながらも何とかクリアしてスピードメーターの距離を見ると、その時点でこの逃げは100km続いていました。
ところが私はその直後のちょっとした上りで、アウターではしんどいと思いフロントギヤをインナーに変速した瞬間にチェーンをイン側に落としてしまいました。やってはいけないリアがロー側に近い状態でのフロント変速。。バイク調整の問題ではなく私のシフトミスです。普段こんなことはやらないのですが、逃げ続けて集中力がかなり落ちていて疲労していたのです。
なかなか直せず直した頃には先頭は遥か先。脱落です。
一気に力が抜けてしまいましたが、腐っても仕方がないので再スタートします。メイン集団から一人抜け出した選手が私に追い付いてきたので、その選手と一緒にできるだけ走りました。
2回目の与那の上りの入口130km地点で力尽き、一人で止まりそうな速度で峠を上っているとすぐに集団が追い付いてきて、私はそれに付いていく脚もなくボロボロ。全身ほぼ攣ってましたね(笑)
一緒に逃げていた先頭集団も2回目の与那の頂上で集団に吸収されたようでした。その時、集団に残っていたチームメイトに声を掛け後は託しました。
でも、私としては集団に吸収されるまで130km近く逃げ続けることができたので、全力は出し切れたし悔いはないですね。
そこからは完走をすることが目標に切り替わりました。前半の逃げのダメージが大きく回復するのに1時間近く掛かり、後半アップダウンがキツくなる沖縄のコースに悲鳴を上げつつ耐えながら、市民210kmの集団から遅れた選手のいるグルペット集団に付いていき、徐々に回復してきたのでそのローテーションにも加わって、完走が見えてきました。
市民210kmの各関門の足切りはそれほど厳しくないので、補給をしっかり取ることに注意しながらなんとか踏ん張りました。
残り20km辺りで前から降ってきた(落ちてきた)TEAM TARMACのお客さんの選手を励ましながら一緒に無事210kmのゴールの名護に戻って来れました。
トップから27分差5時間52分・111位とリザルトは散々たるもの(笑)でしたが、メイクドラマ?はできたのではないかと思います。
TEAM TARMAC。まだ始動したばかり、盛り上がっていきますよ!
★ちなみに、こちらにほんの少しだけ逃げグループの私が動画で映っていました。52分のダイジェスト映像の中の4:30~6:00辺りのほんの少しですが(笑) ↓↓
https://www.youtube.com/watch?v=TdMYzsbVBm4&feature=youtu.be
もしよろしければこちらはお時間のある時にでもご覧になってください。